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「コミュニティに育てられた私がコミュニティに還元できること」YAPC::Hiroshima 2024に向けて【CTO松本×EM新多】

本記事は、YAPC::Hiroshima 2024の学生支援スポンサーによる記事広告です。


はじめまして。LayerXです👋

YAPC::Hiroshima 2024 学生支援スポンサーの株式会社LayerXです!

「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げるコンパウンドスタートアップのLayerX。2018年の創業当初はブロックチェーン事業が主でしたが、2020年頃にピボット。現在は、日本社会全体の課題であるデジタル化に注力しています。

LayerXは、昨年より新卒エンジニアの採用にも力を入れており、エンジニアインターンシップの学生も受け入れています。また、フルリモート環境を採用しているため、全国どこからでも働くことが可能です。(実際に福岡や京都在住のエンジニアも在籍しています!)

学生支援スポンサーを行った理由としては、第一に良質なコミュニティに属することの価値を学生の皆さんにもぜひ知っていただきたいから。第二にLayerXのことを少しでも知っていただきたいと思ったからです。

当記事でお届けする内容は、昨年のYAPC::Kyoto 2023でベストトーク賞を受賞した新多が、若手の頃に巡り合ったコミュニティを通じ、壁にぶつかりながらも成長してきた話です。学生のみならず、若手のエンジニアの方にも共感できる点があるのではないかと思います。

YAPC::Hiroshima 2024では新多に加えてCTO 松本も登壇いたします。現場のエンジニアも複数名で現地に向かいますので、是非会場でお話しましょう!

■22卒エンジニア白井のインタビュー記事
https://note.layerx.co.jp/n/n914769a1bb88

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インターンシップ・新卒採用の情報
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今回お届けするのは、CTOの松本勇気(@y_matsuwitter)とバクラク事業部エンジニアリングマネージャーの新多真琴(@ar_tama)の対談。YAPC::Hiroshima 2024に向けて、どのような思いで登壇をするのか、コミュニティに対して考えていることなどを語ってもらいました。この記事では、PodcastLayerX NOW!」の内容を“ほぼ全文書き起こし”でお届けします。

CTOからEMへ。LayerXに転職を決めた理由

松本:
LayerX NOW!、今回はYAPC::Hiroshima 2024というエンジニア向けのカンファレンスに、私とエンジニアの新多さんが登壇するということで、収録しています。新多さんは社内で“あらたまさん”と呼ばれているので、そのまま呼ばせていただきます。

新多:
バクラク事業部で共通管理というプロダクトのエンジニアリングマネージャーをしています、新多と申します。今年(2023年)の9月16日付けで入社をしています。なので、まだまだ、ニュージョイナーというステータスではあるんですけど、元々LayerXのことは知っていて。

なんでかというと、わいまつ(松本)さんと学生のころから親交があって、その都度、話を聞いていたっていうのが元々のきっかけ。 で、私は、前職でベンチャーのCTOをやっていたんですけど、その時もCTOの先輩として、いろいろ壁打ちとかさせてもらっていました。

そういう中で、新しいチャレンジをしようと思った時に、いろんな会社さんとお話させていただいたんですけど、LayerXの今のフェーズっていうのが、 自分にとってすごく楽しそうだなっていうふうに感じられたのが、入社を決めたきっかけの1つです。

LayerXは今、すごく社員数が増えてきている状況なんですけど、それは事業が伸びているということで、成長中の事業に対して、エンジニアリングの力だけではなくて、組織をどう作っていくか、どのような仕組みを作っていけば、みんなをもっとエンパワメントすることができるかっていう、難易度の高い問題に仲間たちとチャレンジできるっていうところに、すごく魅力を感じて入社を決めました。

「あの日ハッカーに憧れた自分が、 ハッカーの呪縛から解き放たれるまで」

松本:
いや、嬉しいっすね。ちなみに、一緒に働くのは12年ぶりくらいですね。時が経つのは早いですね。僕らが学生だったのは12年前だと……結構時間が経ったなとは思うんですけど、あらたまさんに限らず、昔の仲間が、またLayerXにどんどん集まってきていて、とても楽しいんですけども、その話はまた追々。

で、今日の本題はですね、僕とあらたまさんがそれぞれYAPCのセッションに登壇することになったので、その話を聞いてみたいなと思っていて。そもそも前回のYAPCで、あらたまさんベストトーク賞を受賞していましたよね。

https://tamamemo.hatenablog.com/entry/2023/03/20/225750

新多:
そうなんです。トークの中で一番いいと思ったものを参加者の方に投票してもらうベストスピーカー賞をいただきました。本当にありがたいです。

松本:
どういったお話をその時されたんですか。

新多:
先にYAPCとはなんぞやをご説明すると、“Yet Another Perl Conference”の略で、「Perlのお祭り」と紹介されることが多いです。 ただ、Perlという言語は今、トレンドとしては下火になってきていて、10年前と比べると確実に少なくなってしまっているっていうのが現状だと思います。

そんな中も、YAPCがこうやって盛り上がり続けているっていうのは、国内のエンジニアコミュニティにおける、ハッカーコミュニティの源流みたいなものがあるなと思っていて。始まりは2006年とずいぶん歴史のあるイベントだったりもするので、ハッカーの精神みたいなものを受け継いで、Perlにとどまらない、いろんな技術のトレンドの話だったり、現場で活躍している人の話だったりが聞ける場として、人気を博しているのかなと思います。

私自身も、大規模に開催されていたYAPC::Asiaの頃から、現在のYAPC::Japanの全国各地を巡って、少し規模の小さいカンファレンスを行う、どちらの形でもボランティアスタッフや登壇などで関わってきた経緯があって、YAPCへの思い入れは多分、LayerXで一番強いと思います。

私自身、YAPCコミュニティに育ててもらったと思っているので、 恩返しになるような、いわば次の世代に送るようなトークをしたいなと思って、「あの日ハッカーに憧れた自分が、 ハッカーの呪縛から解き放たれるまで」っていうタイトルで登壇しました。

ざっくりどんな話をしたかというと、2011年、私は学生だったんですけど、すごく楽しそうにハッカーとして働く人たちの話を聞いて、こんなところに行ったら自分もたくさん成長できちゃうんじゃないかって、そういう野心を胸にDeNAに新卒で就職するんですけど。そこで、あまりにも皆さん「強い」ので、「自分も強くあらねば」と周りが期待してる以上に気合が入りすぎてしまって、空回っていたなと思うことがありました、と。

つまりこれって、自分に求められている、期待されている役割がどういうものかということと、自分はそもそもどういうスキルを活かして、エンジニアとして仕事をしたいか、成長したいか、 というところがちゃんと見えていなかったから、ありもしないギャップを自分で生み出して、勝手に苦しがってただけなんじゃないか、と気づいたんですね。

それを健全にしていけるようになるまでのプロセスみたいなことを、かいつまんでお話をしました。一口にエンジニアって言っても、いろんなキャリアの方向性があるし、エンジニアリングの力で、事業の価値を大きくしていくことっていうのが、自分たちにとっての至上命題だと思っているので、それを真ん中に据えるようになってからはブレずにやっていけるようになった、というキャリアの変遷の話しをさせてもらったっていう感じですね。

思い込みの「強いエンジニア」像と闘っていた若手時代

松本:
なんか、最初の頃、2011年頃のハッカーの、「強くある」みたいなのって、僕も見ててありましたね。なんか、開発を推進できる、技術を主張できることが強さであるみたいな、「ステレオタイプな強さ」みたいなのがあった気がするんですけど、あらたまさん的にはどういう強さだったんですか。自分が思い込んでた強さ。

新多:
そうですね……「強い人たち」と、どういったとこから嗅ぎ取っていたかっていうと、技術的な知見の深さと広さに裏打ちされた、意思決定の厚みみたいなところを感じ取って、自分にはこれはまだできないなって思っていたっていうのが、あったなって思いますね。

松本:
ある程度の技術的知見をつけるまで、不必要に先輩たちの言ってることが深く見えますよね。

新多:
そうなんですよ。自分には見えない深遠な変遷をたどって導き出された答えであるような。勝手に神格化しちゃうみたいな。 実際は、思いつきで喋ってることも結構あったっていうのを、後から知るっていう。

松本:
成長しないと見えない、思い込みで生まれている強さの仮の像みたいなのがあって、それが自分を苦しめるみたいなのがあらたまさんに限らず、多分キャリアの初期って、みんなある気がしますよね。

新多:
そうですね。自分が、コンピュータサイエンスにすごく知見がある状態での入社ではなかったので、同期とかも自分と比較して、すごく強く見えていて。実はバクラク事業部のCTOのmosa(榎本)は私と同期入社で、同じ部署に配属になった仲間でもあるんですけど。

私は彼のことをすごく尊敬していたし、すごく強いと思っていたので、劣等感を覚えたりもすることもあったんですね。なんですけど、YAPCの登壇の書き起こしを読んでくれて、「完全に同じことをあの時自分も感じていた」みたいなことを言ってくれて、みんな思ってたんだなって知ることができて、一種のカタルシスがありました。

松本:
みんなそうなんですよね。例えばLayerXに、新卒のメンバーが毎年入社してるんですけど、おそらく無駄に高い壁を感じてしまってるんじゃないかなっていうのは、感じるところがあって。「この意思決定とか、あの人のやっていることは私には思いもつかない、恐ろしい数式によって導き出されてるんじゃないか」みたいな、そういう枷を負ってしまわないかというのは僕も気にしていますね。意外とみんなのほうができるんだよって思うことはいっぱいあるし。

僕はあらたまさんのキャリアとは真逆で、いきなり野生児として、無理やりプロダクトをスケールさせる生き方をずっとしてきて、ある意味悩む暇がなかったんですが、あらたまさんが思い込みの「強きものの像」から逃れたきっかけは何だったんですか?

新多:
今にして思えば、いろんなところにきっかけはあったんですよね。自分が気づけたかどうかっていうのは、また別の話なんですけど。それこそ、1社目の時も、エンジニアリングを強くしていくための打席をすごくたくさん用意してもらってましたし、それだけじゃなくて、プロジェクトマネジメントを兼務するっていう形での入り込み方っていうのが結構多くて。

それは、周辺領域のボールを拾って適切なところに渡してあげるっていう、そういう動きをしてくれるんじゃないかっていう期待を、上司が持ってくれていたからなんですけど。それによって、そういう仕事を他の人よりはうまくできそうという自覚が持てたことによって、それがサブウェポンになったっていう感じはありました。

その後、何回か転職をするんですけど、その過程で一口に技術力と言っても、それが何を指すかというのは環境によってすごく差が出るし、その中で求められてるのことって、こういうことかなとすり合わせていくうちに、ただ単純に技術があればいいというわけではないのだなという感触を得て、それであんまり背伸びしなくなってきたっていう変遷がありますね。

松本:
ソフトウェアは社会学ってやつですね。

新多:
本当にそうなんですよ。基本的に現実で起きていることの写像を切り取ってシステム化しているのが、私たちのやっている営みだと思うので。

組織を作るところも含めて“ソフトウェア開発”

松本:
その写像の仕方も、コードに落とすだけじゃないですもんね。 コードの周りに、さらにそれを作る人たちがいて、その組織を作るところも含めて、ソフトウェア開発だって考えると、ソフトウェアの技術力だけがあればいいってわけでもないですよね。割と直近は、そういう考え方が主流になってきた気もしますよね。 いろいろなカテゴリーの人が必要だと。

新多:
時には業務フローこそエンジニアリングすべきみたいなこともありますからね。

松本:
あらたまさんって、そういう気づきを作る過程でロールモデルとかいたんですか。

新多:
「この人みたいになりたい!」みたいなのは正直あんまりないですね。なんですけど、人生のターニングポイントでそれぞれ適切な助言をくれた人はたくさんいて。わいまつさんもそのうちの1人だと私は思ってる。

松本:
恐縮でございます(笑)

新多:
他社の同じようなキャリアを持っている仲間だったり、その時のマネージャーだったり、関係性はさまざまなんですけど、いろんな人にいろんなことを教えてもらって、 それを織り上げた結果が自分だなって思うことは多いですね。

松本:
出会いって大事ですよね。あらたまさんは結構、人に会うっていう活動に関して、重点を置いているとは思うんですけど、 その辺って意識されてるもんなんですか。

新多:
好きなんでしょうね、単純に。必要最低限のコミュ力を後天的に身につけたタイプのコミュ障です(笑)

松本:
私も多分そうですね(笑)

新多:
やっぱり同じ語彙を持つ人と話をすることは楽しいし、特にLayerXに入ってすごく思うのは、「この人と一緒に働いてみたら楽しそうだな」って思う人にたくさん声をかけられる。LayerXが成長過程で、人手が全然足りなくて、みんなに助けてほしいっていうフェーズだからこそ取れるアクションなので、そうやっていろんな人とコミュニケーションを取ることで、新しい気付きを得られて嬉しいですし、私も新しい視点を相手にお渡しすることができれば良いなと、そういう期待を持って外に出ていっているっていうのはあるかもしれない。

コミュニティに育ててもらったからこそ、伝えたいこと

松本:
採用のためだけに会っているわけじゃないってのはすごい大事なポイントっすよね。

新多:
そればっかりだと、お互いにちょっと苦しくなっちゃうんで。

松本:
苦しくなるし、僕は採用プロセスとか関係なく、とりあえず友だちを増やしたいなという思いがすごくあって。友だちが多いと、学び合えるし、情報も入ってくるし、なんやかんや飲んでて楽しい(笑)。そういう観点の延長に偶然、転職フェーズが来て、LayerXに来てくれてるといいなと思ってたら、いつの間にか人が増えてるみたいな感じですね。

新多:
そうですね。私もいつの間にか転職してましたね。

松本:
ありがとうございます。

新多:
コミュニティってすごく大事だなって。私はYAPCに育ててきてもらったと、勝手に恩を感じていて。前回のYAPC::Kyoto 2023でのトークも、「コミュニティに対してのありがとう」という気持ちと、門を叩いてくれた人に対して、「コミュニティって良いもんだよ」とお伝えできるといいなと思ってやっていました。

初めてのコミュニティに参加するって、めちゃめちゃ緊張するじゃないですか。知ってる人は誰もいないし、超怖いっていう状況の中で、勇気を出して参加するってすごいことなので。実際、反響もいただけて嬉しかったですし、コミュニティを盛り立てることに自分が寄与できてることには、すごく嬉しさを感じますね。

松本:
その経験も踏まえて、あらたまさんのトークって、これからキャリアを踏み出す人への、エールみたいなもんだったと思うんですけど、 20代の若手とか、これからちょっと頑張っていくぞみたいな人たちに向けて伝えたいことはありますか。

新多:
実際、 直近で学生さん向けのイベントに登壇したり、学生さんと交流するタイミングがあって、その時も話したんですけど、 自分であんまり選択肢を狭めすぎないほうが良いと思いますね。

見えているものが全部に思えてしまうことってあると思うんです。例えば、やっている事業やタスクに対して不満が出たとして、それをなかったことにするだけじゃなくて、もっと広い世界を見て自分がやりたい方向性を少しずつチューニングをする。一つの環境にどっぷり浸かってしまうと、「今が嫌だから転職だ!」ってなってしまいますが、実は異動っていう選択肢もあったかもしれないし。そういう選択肢の狭まりが若いうちは起こりやすいと思うんですね。

なので、選択肢を広げることを意識してやっていけるといいと思うし、私は結果論ではありますけど、コミュニティがそういう役割をしてくれていたなってすごく感じてますね。

松本:
多様な視点って大事ですよね。自分が気づいてないものを誰かは気づいていて、その視点をもらうだけで「これも選択肢だった」と気づくことは体験的にありますもんね。

新多:
自分ひとりでは100パーセントの視点をカバーできないって思えるかどうかっていうのはあるかもれないですね。

松本:
僕、若い時の反省で謎に万能感持ってたなと思います。今振り返ると、そんなこと全くなかったじゃんって思うんですけど。謙虚に多様な人に会いに行く、多様性を大事にしている組織に加わるっていうのは大事なことかもしれないですね。

新多:
そういう点では、LayerXは本当にいろんな視点を持った、いろんなバックグラウンドを持ったメンバーがすごくたくさん揃っているので、 15分話すだけでも新しい視点がボロボロ見つかって、「きゃー!」っていつも嬉しい悲鳴を上げています(笑)

松本:
僕も、僕のできないことをできる人たちを仲間にしているので、毎日フィードバックに目から鱗感がありますね。そういう多様さを求めて、さらにいろんな人が集まって来るっていうのが、良いサイクルだなって、ニヤニヤしながら楽しんでいます。

新多:
そこでニヤニヤできるの、代表の特権ですね。

松本:
良いチームができたなって、常に思ってますから。

今日からEMになったあなた、さて、どうする?

松本:
ちょっと話を変えて、今回YAPCに提出したプロポーザルってどういうものだったんですか?ちなみに、YAPCは事前にプロポーザルを提出して採択された人が登壇するというプロセスを取っています。

新多:
新任エンジニアリングマネージャーのためのぼうけんの書」というタイトルで出しました。「今日からEngineering Manager(以下:EM)になったあなた、さて、どうする」みたいなところから、エンジニアリングマネージャーって、どういう職なんだっけ、どういった役割が求められるんだっけといった話をする予定です。

EMじゃなくても、マネージされる側としてこういうことを知っておくと後々楽だったよみたいなこともお伝えできればと。

松本:
何か課題感があったんですか。

新多:
どちらかというと、自分がGiveできるものはなんだろうなという視点から考えた感じです。自分自身で、EMを集めてディスカッションするミートアップをたまにやってるんですけど、そこで聞く限りでは、 組織の中にEMと呼ばれる人の絶対数が少なくて、なかなか横に相談しづらい。立場上センシティブな話も取り扱うことが多いので、そういった意味からも相談しづらいんですよね。

加えて、各社でEMの定義が結構異なるんです。他社がこうやってるからといって、そのメソッドをそのまま自分たちに転用できるかというと、なかなかそうはいかなくて。 そういう背景があって、ベストプラクティスがあんまり世に出てきづらいなという実感があるので、生きた実例をお話しすることで、EMになった方が、EMという職種を乗りこなす助けになればいいな、といったことを考えてます。

松本:
ということは、EMとしてのあらたまさんの真髄が聞けるということですね。

新多:
そんな大層なものがあるかはわからないですけど、まあそういうことで(笑)

組織に対しての目線を持ちながらエンジニアリングに向き合えるのがEMの良さ

松本:
あらたまさん自身、転職する上でいろんな選択肢があった中で、またEMをやろうと思った理由は何なんですか?

新多:
ひとつは、エンジニアリングにもう1回ちゃんと向き合いたいと思ったから。もうひとつは、私はチームの力をものすごく信じてるんですね。 自分ひとりでなんとかできる領域って高が知れているので、みんなの力がロスなく発揮されるだけじゃなくて、掛け算でもっともっとレバレッジをかけて大きくしていくことができる場所を選びたいと考えていました。

そうした組織に対しての目線を持ちつつ、エンジニアリングに向き合うことを考えると、EMという着地は妥当だったのかなと思いますね。

松本:
特にLayerXのEMって、開発もしながらマネージもしながらなので、チームも大きくしないですからね。

tech.layerx.co.jp

新多:
チームを大きくしないことによって、強いEMになっていくっていうことを、自分を実験台にしながらチャレンジしているっていう感じですかね。

松本:
いい話ですね。LayerXで今後EMが育っていく場所を作りたいなど、そういった思いもあるんですか。

新多:
そうですね。今の開発のスタイルって、どこの会社もそんなに大きな差はないと思うんですよね。デプロイサイクルの差とかはあるかもしれないですけど、手法としてはもう十分にコモディティ化されていると思っていて。

その中で、チームとしてパフォーマンスを出していくのに適切な型——それも3年も経てば風化してしまうとは思うんですけど、現時点で私たちが良いと思っているスナップショットを発信し続けていくことが、エンジニアコミュニティに還元できる材料のひとつになるんじゃないかと思っているので、日々奮闘しています。

松本:
自分のチームに対してはどうですか。

新多:
今のチームは少数精鋭なので、それぞれが役割を限定せずに、お互いの領域を越境しながら仕事を進めることが結構できていて、それはすごく理想的だなと思っています。ただとにかく、頭数が足りてないので。

もうちょっと手があれば、こういったところにも手が届くのになって、毎日泣きながら諦めているっていうところがあって。なので、仲間を増やしたいですね。その上で、私たちが担当しているプロダクトは、認証の部分を主に扱っているので、技術的な難易度と、セキュリティのバランスを保ちつつも、お客様の体験を損ねるっていうことは絶対にしてはならないと思っていて。そういう、ユーザー体験をすごく重要視しているチームなので、そこで得た知見を社内外に還元していきたいなと思っています。

わいまつさんのコミュニティへの関わり方の姿勢はどうですか?

健全に“嫉妬”できる友だちを増やすことが成長のサイクルを生む

松本:
僕は昔から血気盛んな若者だったので、とにかくいろんなコミュニティで発信をすることだけを心掛けてきたんですよね。 あとは、さっきも話したように友だちを作ることもとても大事にしていて。

友だちを作ると嫉妬するんですよね。良い意味での嫉妬。例えば、誰それがあのOSSにコミットしたとか、あいつが先にマネージャーになってったとか、あのすごいプロダクトの開発をしたのが実はあいつだったみたいな。

すると、悔しいってなるんですよね。全然戦場は違うんだけど、もっと頑張らなきゃって。

そういう、自分を努力させるエンジンとしてのコミュニティの側面をすごく感じていて。なので、本当の意味で切磋琢磨する仲間をちゃんと探そうと思って。そのためには、Giveをしながら関わって、その過程で友だちが増えて、切磋琢磨して自分がさらに成長して……っていうサイクルを作ることが、僕のコミュニティの関わり方でとても大切にしていることです。

今CTO協会でも、若手の皆さんにそういうコミュニティを作っていて。我々も昔、「若手Web」というコミュニティにいて、そこにいた主要メンバーの多くがCTOになっています。やっぱり当時お互いなんとなく横を見ていたと思うんですよね。

speakerdeck.com

新多:
そうなんですよね。

松本:
そういうコミュニティの効果を僕は大事にしてるので、お互いに成長するって意味でも、コミュニティをを育てていく。そのためには、自分もGiveする、なんならコミュニティを作るところから自分でやらなきゃと思っていますね。

levtech.jp

新多:
やっぱり発信することで、「あのトークをした人だ」って認知がもらえるけど、いち参加者のうちはコミュニティの中で寄る辺がないんですよね。なのでLTでも良いので、1回発信する側に飛び込んでみると、コミュニティへの関わり方がより主体的になって、仲間が見つかって、健全な嫉妬で「うおー頑張るぞ!」って成長できる気がします。

松本:
それは僕もすごく大事にしていました。

せっかくなので、今キャリアに悩んでる若手とか、LayerXが気になってる方に向けて、最後、あらたまさんから伝えたいことはありますでしょうか。

新多:
キャリアに悩まれてる方は、 私を壁打ち相手に使ってもらって良いので、いつでもご連絡ください。(※こちらからどうぞ!)コミュニティってどういうものだろうと気になっている方は、来年の2月10日にYAPC::Hiroshima 2024で、私もわいまつさんも登壇するので、よかったらそれを見に来て、たくさんの方と交流して、コミュニティってこういうもんなんだなって体感してもらえたら良いなと思いました。

松本:
ありがとうございます。というわけで、YAPC::Hiroshima 2024でみんなと握手、という感じで締めたいと思います。本日はありがとうございました!


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passmarket.yahoo.co.jp